作成日: 2020年11月24日 最終更新日:

【徹底解説】大学が総合型選抜に注目するのはなぜ ?

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AO入試は、1990年に慶應義塾大学がはじめて導入し、1991年の大学設置基準の改正をきっかけに、大学改革の一環として2000年ごろから急増した入試選抜方法です。2020年度からは『高大接続改革』により「総合型選抜」と名称が変わりました。

参考:「高大接続改革」とはどのような改革ですか(文部科学省)

近年、総合型選抜(旧AO入試)を課す大学が増えましたが、大学が総合型選抜に注目するのはなぜでしょうか。この記事では、大学が総合型選抜に注目する理由を明らかにし、今後の入試の動向を見ていきたいと思います。

生徒の人柄やがんばりを見たい

大学が総合型選抜に注目するのには、大きく三つの理由が考えられます。

まず、一つ目の理由は、学力試験だけでは測れない生徒の人柄やがんばりを見たいからです。

総合型選抜の入試では、一般入試とは異なり、小論文や面接が課されることが多いです。

小論文では、あるテーマについて自分の意見を論理的に記述する力が必要になります。

面接では、目の前の面接官に対して、高校生活でがんばってきたことやこれからがんばりたいことについて、明確に伝える力が不可欠です。

大学側は小論文や面接を通して、学力だけではなく、生徒の考える力や自分の考えを論理的に表現できるかどうかを見ています。

これらを見ることで、今、受験している生徒が、積極的かつ主体的に物事を考えられるかどうか、また、自分の考えを論理的に表現できるかどうかを判断しています。

大学のアドミッション・ポリシーに合う、やる気のある学生を確保したい

ガッツポーズでやる気を見せる女子学生


次に、二つ目の理由は、大学のアドミッション・ポリシーに合う、やる気のある学生を確保したいからです。「アドミッション・ポリシー」の「アドミッション」とは「入学の許可」、「ポリシー」とは「方針」を意味します。「アドミッション・ポリシー」とは、各大学が掲げる、「大学の受け入れ方針」のことです。つまり、どんな学生に入学してほしいかを明文化したものです。

各大学は、単に学力が大学に見合うだけでなく、大学が掲げるアドミッション・ポリシーに合う、やる気のある学生を確保したいと考えています。大学入学後も、勉学に励み、意欲的に大学生活を送ってくれるような学生を求めているということです。

「アドミッション・ポリシーに合うかどうか」や、「やる気があるかどうか」は、学力試験で測ることは困難です。そのため、総合型選抜に注目する大学が増えました。

総合型選抜の入試では、大学側は募集段階から、「このような学生がほしい」と伝えることができます。また、入試内容も比較的自由に設定できるため、学力試験のみの一般入試よりも、生徒のやる気を測りやすいという側面があります。
大学のアドミッション・ポリシーは各大学のHPやパンフレットに掲載されていますので、受験を考える大学がある場合は、一度目を通しておくといいでしょう。

総合型選抜の増加には、大学の経営状況が関わっている


最後に、近年、総合型選抜が急増している背景に触れておきます。それは、大学の経営難です。受験者が少なく定員割れを起こしている私立大学を中心に、総合型選抜で入学する学生が増えているという文部科学省の統計データがあります。1991年の大学設置基準の改正をきっかけに、大学の新設が相次ぎました。しかし、少子化にも関わらず大学の数が増えたために、学生を確保できない大学も出てきてしまいました。

総合型選抜は、合格すると必ず入学しなければならない入試制度です。大学側からすると、確実に学生を確保できる入試方法であるため、経営難の私立大学を中心に、総合型選抜に力を入れる大学が増えている実情があります。

大学が学生を確保できず、経営が困難になると、雇っている教員や職員の数を減らしたり、給与を減額したり、設備投資を節約したりせざるを得なくなります。そうなると、教育環境が整えられなくなり、教育の質が落ちる場合が出てきます。

大学全入時代と言われて久しいですが、大学に合格できればいいという感覚で大学選びをすると大変なことになります。自分の受験する大学が経営難に陥っていないかどうかを、定員割れになっていないかなどの指標をもとに、チェックする視点が常に必要です。学生には、教育の質が担保された環境で学ぶ権利があります。

大学が総合型選抜に注目する理由 まとめ

入試制度について抱える希望イメージ


ここまで、大学が総合型選抜に注目する理由を大きく三つ取り上げました。一つ目の理由は、学力試験だけでは測れない、生徒の人柄やがんばりに注目しているからです。二つ目の理由は、大学側は自分の大学の方針に合う、やる気のある生徒を入学させたいと考えているからです。そして、三つ目の理由は、定員割れを起こして経営難に陥っている私立大学を中心に、確実に学生を確保したいと考えているからです。

これらの理由から、今後の入試の動向を考えると、これからも総合型選抜に注目する大学は増えていく考えられます。

ただし、これまで課題として上がっていた、一般入試合格者とAO入試合格者の学力差の問題を解消するために、今後の入試では方策が講じられるでしょう。学力が追いつかず、大学の授業に付いていけなず大学と学生のミスマッチが生じないよう、総合型選抜の入試にも何らかの学力を測る試験が加わるかもしれません。

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