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作成日: 2026年8月23日 最終更新日: 総合型選抜基礎知識

こんにちは!総合型選抜専門塾AOIの編集部です。
「指定校推薦って、落ちることはあるのかな」
「もし校内選考で選ばれなかったら、もう終わりなのかな」
指定校推薦を考えはじめると、こうした不安が頭をよぎる方も多いのではないでしょうか。友だちからは「指定校は落ちないよ」と言われるのに、ネットを見れば「落ちた」という声も出てくる。どちらを信じればいいのか分からず、もやもやしたまま調べ続けている方もいるかもしれません。
はじめにお伝えしておきたいことがあります。指定校推薦で「落ちた」と言われているケースの多くは、大学の試験ではなく、高校の中で行われる校内選考での結果です。そして校内選考で選ばれなかったとしても、それはあなたの努力が足りなかったから、とは限りません。枠の数と希望者の数という、自分ではどうにもできない事情が関わっていることも多いのです。
この記事では、指定校推薦の合格率が実際どのくらいなのかを2つの関門に分けて整理したうえで、校内選考で落ちてしまう理由、大学の選考で落ちるまれなケース、やってしまいがちなNG行動、そして学年別の対策までをお伝えします。最後には、万が一のときに備えて何を準備しておけばいいのかもご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
この記事を見てくれた方限定。指定校推薦の対策プレゼントをAOI公式LINEで配布中です。校内選考でチェックされやすいポイントをまとめていますので、出願前の確認にお使いください。
指定校推薦で合格するまでには、性格の異なる2つの関門があります。1つ目が、高校の中で推薦枠に入る人を決める「校内選考」。2つ目が、高校の推薦を受けた人が大学で書類や面接を受ける「大学の選考」です。
「指定校推薦は落ちない」と言われているのは、2つ目の大学の選考についての話であることがほとんどです。一方で「指定校推薦に落ちた」という声の多くは、1つ目の校内選考を指しています。同じ「落ちる」という言葉で語られているために、話がかみ合わなくなっているのかもしれません。
まずは、この2つの違いを整理しておきましょう。ここがはっきりすると、この後の対策がすべてつながって見えてきます。
校内選考を通過して大学に出願した方は、高い確率で合格しているといわれています。これは、指定校推薦という制度が高校と大学の信頼関係の上に成り立っているためです。
大学は、これまでの実績をもとに「この高校が推薦してくれる生徒なら安心できる」と判断して、特定の高校に枠を渡しています。その高校が「この生徒を推薦します」と送り出してきた相手を大学が簡単に不合格にしてしまえば、積み上げてきた関係が崩れてしまう可能性があります。高校の側も同じで、自信を持って送り出せない生徒を推薦すれば、翌年から枠を減らされることもあるかもしれません。
つまり、大学の選考にたどり着いた時点で、高校と大学の双方が「合格させる前提」で動いていることが多いのです。そのため大学の選考は、ふるいにかけて落とすための試験というよりも、推薦された生徒に問題がないかを確認する場という性格が強くなります。
ただし、正確な合格率の統計が公表されているわけではありません。「合格率100%」といった数字を見かけたときは、その根拠がどこにあるのかを一度確かめてみるとよいでしょう。実際に落ちてしまった方がいることも事実です。どのような場合に落ちることがあるのかは、記事の後半でお伝えします。
大切なのは、大学の選考を軽く見ないことと、必要以上に恐れないことのバランスです。
一方の校内選考には、必ずといっていいほど倍率がつきます。ここが指定校推薦の最も難しい部分かもしれません。
たとえば、ある大学の経済学部の枠が「1名」だったとします。そこに同じ高校の3人が希望を出せば、選ばれるのは1人だけで、残る2人は選ばれないことになります。これは実力が足りなかったからというより、単純に席が1つしかなかったからです。
しかも、誰が希望を出すかは事前には分かりません。どれだけ真面目に3年間を過ごしていても、同じ枠に自分より評定の高い方が手を挙げれば、状況は一気に変わります。指定校推薦が「運に左右される」と言われるのは、こうした構造があるためです。
だからこそ、指定校推薦の対策とは、ほぼ「校内選考の対策」のことだと考えてよいでしょう。大切なのは、自分の努力で変えられる部分と、変えられない部分を分けて考えることです。
| 校内選考 | 大学の選考 | |
|---|---|---|
| 決めるのは | 自分の高校 | 大学 |
| 何で決まるか | 評定平均・欠席日数・生活態度・活動実績 | 書類・面接・小論文など |
| 時期の目安 | 高3の9月ごろ | 高3の11月ごろ |
| 落ちやすさ | ここで選ばれない方が多い | 落ちる方は少ない |
| 通らなかった場合 | 他の入試方式に切り替える | 他の入試方式に切り替える |
「結局のところ、何パーセントなの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
ただ、この質問に1つの数字でお答えするのは難しいのが正直なところです。というのも、先ほどお伝えした2つの関門で、合格率の考え方がまったく違うからです。大学の選考の合格率は高いといわれている一方で、公式な統計は公表されていません。そして校内選考にいたっては、あなたの高校の状況によって毎年変わります。
とはいえ、目安の立て方はあります。順番に見ていきましょう。
1つ目は、大学に届く時点ですでに絞り込みが終わっていることです。校内選考という関門を通過した生徒だけが出願するため、大学から見れば「その高校が最も自信を持って推薦してきた生徒」が並んでいる状態になります。ここからさらに落とす必要が、あまり生じないわけです。
2つ目は、専願が前提になっていることです。指定校推薦は「合格したら必ず入学します」という約束のうえで出願する制度です。大学にとっては、合格を出せばそのまま入学してくれる可能性が非常に高い受験生ということになります。入学者数を計画通りに確保したい大学にとって、これはありがたい存在だといえるでしょう。
3つ目は、高校との関係を守る必要があることです。大学が推薦された生徒を落とせば、その高校は翌年からその大学に生徒を送りにくくなるかもしれません。高校にとっても大学にとっても得がないため、よほどの理由がない限り不合格は出さないと考えられます。
こうした理由から、大学の選考は「まず通る」と考えてよい場面が多いといえます。ただし、それは準備をしなくてよいという意味ではありません。
校内選考には、決まった合格率がありません。その代わり、目安を計算する方法はあります。考え方はとてもシンプルです。
校内選考の実質倍率 = その大学・学部の希望者数 ÷ 枠の数
枠が1名のところに希望者が1名しかいなければ、通る可能性はかなり高くなります。同じ枠1名に3人が希望を出せば、単純計算で通るのは3人に1人ということになります。枠が2名あって希望者も2名なら、これも通りやすいでしょう。
ここで知っておいていただきたいのが、同じ評定平均でも、高校によって結果が変わることがあるという点です。評定4.2という数字それ自体には、通るか通らないかを決める力がありません。あなたの高校のその枠に、誰が手を挙げるかによって状況が変わるからです。A高校では通った4.2が、B高校では届かないということも起こり得ます。
だからこそ、全国平均のような数字を探しても、あまり参考にならないかもしれません。大切なのは、あなたの高校の、あなたが狙う枠の状況を知ることです。
数字が公表されていないなら、自分で確かめるのが確実です。難しいことではありませんので、次の3つを試してみてください。
① 進路指導室で、過去の推薦実績の資料を見せてもらう
多くの高校が、過去数年にどの大学へ何人を推薦したかという記録を持っています。「昨年その枠に何人が希望して、実際に何人が推薦されたか」が分かれば、今年の見当がかなりつくはずです。
② 担任の先生に、校内選考の基準を直接聞く
評定平均だけで機械的に決める高校もあれば、欠席日数や部活動での姿勢まで含めて総合的に判断する高校もあります。ここを知らないまま対策を始めると、力を入れる方向がずれてしまうかもしれません。「校内選考って、何を見て決まるんですか」と一言聞くだけで大丈夫です。
③ 先輩に、実際の流れを聞いてみる
資料には残らない「実際どうだったか」という情報は、経験した方からしか出てきません。希望調査がいつ始まったのか、面談で何を聞かれたのか。こうした具体的な話は、準備の精度を上げてくれるはずです。
この3つは、高3の春までに済ませておけると理想的です。大切なのは、情報を集める時期を後ろにずらさないことです。
なお、この記事では「落ちる理由」を中心にお伝えしていますが、「自分の志望校はどうなんだろう」「落ちる人にはどんな共通点があるんだろう」と気になった方もいるかもしれません。指定校推薦という制度そのものの仕組みや、「必ず合格できる」という思い込みがなぜ危ういのかは、下記の記事で詳しく掘り下げていますので、あわせてご覧ください。
ここからは、校内選考で選ばれなかった方によく見られる理由を具体的に見ていきます。自分に当てはまるものがないか確認しながら読み進めてみてください。当てはまるものが見つかれば、それがそのまま対策すべきポイントになります。
最も基本的で、最も多い理由です。
大学が高校に指定校推薦の枠を出すとき、多くの場合「評定平均4.0以上」といった条件がついています。この数字に届いていなければ、校内選考で競う以前に、希望を出すこと自体ができない場合があります。
注意していただきたいのが、評定平均の計算範囲です。指定校推薦で使われる評定平均は、高1の1学期から高3の1学期まで、つまり高校生活のほぼ全期間の成績をならして算出します。高3になってから「もっと成績を上げよう」と思い立っても、その時点ですでに5学期分が確定しているため、平均を大きく動かすのは難しいかもしれません。
「たぶん足りているはず」と思っていたら、実際に計算してみると基準に届いていなかった、というのはよくあることです。ご自身の数字を正確に出す手順と、成績の上げ方については下記の記事で解説しています。まだ一度も計算したことがないという方は、この機会に確かめてみてください。
先ほどお伝えした「枠の問題」です。そして、この記事の中で最もお伝えしたい理由でもあります。
これは、あなたの努力ではどうにもならない部分かもしれません。同じクラスに評定4.8の方がいて、枠が1つしかなければ、評定4.5のあなたが選ばれないこともあります。あなたが何か失敗したわけでも、準備を怠ったわけでもありません。
しかも、誰が同じ枠を希望するかは、希望調査が締め切られるまで分からないことがほとんどです。夏まで順調に準備を進めてきて、9月に初めて「同じ枠にもう2人いた」と知る、ということも起こり得ます。
この事実こそが、「指定校推薦だけに絞るのは少し危ないかもしれません」とお伝えしている理由です。どう備えておけばいいのかについては、記事の後半であらためて詳しくお伝えします。
高校は、生徒を大学に送り出す責任を担っています。
欠席や遅刻が多い生徒を推薦すると、大学に「入学後にきちんと通ってくれるだろうか」という不安を与えてしまう可能性があります。高校としては、どうしても推薦しにくくなるのかもしれません。
欠席日数について明確な上限を設けている高校もあれば、事情も含めて総合的に判断する高校もあります。病気やご家庭の事情による欠席は、きちんと説明できれば考慮されることもあります。大切なのは、自分の高校がどういう考え方をしているのかを早めに確認しておくことです。
評定や活動も含めて、指定校推薦の枠をもらうために何が求められるのかは、下記の記事でまとめていますのでご覧ください。欠席が増えてきて不安を感じている方も、一人で抱え込む前に確認してみてください。
服装違反を繰り返している、遅刻が常習化している、授業中の態度に注意を受けたことがある。こうした日々の積み重ねは、思っている以上に先生方の間で共有されていることがあります。
指定校推薦は、高校の名前を背負って大学に行く制度です。そのため校内選考では、成績の数字だけでなく「この生徒を高校の代表として送り出せるか」という視点も入ってくるでしょう。
厳しく感じられるかもしれませんが、裏を返せば、日々の姿勢がきちんと評価される制度でもあります。特別なことをする必要はありません。大切なのは、当たり前のことを続けることです。
評定平均が同じくらいの方が並んだとき、決め手になるのがこの部分です。
部活動でどんな役割を担ったのか、委員会や生徒会で何に取り組んだのか、英検や漢検などの資格を持っているか。こうした要素を並べて、高校は判断することになります。
ここで誤解されやすいのですが、全国大会で優勝したような実績が必ずしも必要なわけではありません。むしろ評価されやすいのは、「3年間続けた」「途中から役割を任された」といった、継続と責任の事実です。1年で辞めてしまった部活よりも、目立たなくても3年間続けた委員会活動のほうが強く見えることもあります。
いま何も取り組んでいないという高1・高2の方も、焦る必要はありません。1つでいいので、卒業まで続けられそうなものを見つけてみてください。
校内選考の段階でも、志望理由書や作文の提出を求められることがあります。
ここで多くの方がつまずくのが、「この大学の雰囲気が良いと思ったから」「就職に強いと聞いたから」といった、誰にでも書ける内容を出してしまうことです。こうした理由は、大学名を入れ替えてもそのまま通用してしまうため、読んだ先生の印象に残りにくいかもしれません。
先生が知りたいのは、なぜその大学の、その学部でなければいけないのかという点です。あなたが学びたい内容と、その大学で実際に学べることがつながっているかどうかが見られています。
「何から書けばいいのか分からない」という方は少なくありません。書き方の型と、実際に評価されやすい志望理由の例を下記の記事で例文つきに解説していますので、書きはじめる前に一度目を通してみてください。
最後は、最ももったいない理由かもしれません。
締め切りに1日遅れてしまった。必要な書類が1枚足りなかった。記入すべき欄が空白だった。こうしたことで、3年間積み上げてきたものが活かせなくなってしまうことがあります。
背景にあるのは、指定校推薦のスケジュールの短さです。枠の一覧が公開されてから希望調査の締め切りまで、2週間程度しかないという高校も珍しくありません。校内選考の希望調査は、夏休み明けすぐに始まることが多いということを、いまのうちに知っておいていただけたらと思います。
推薦入試全体の流れを事前に把握しておけば、こうした事故は防ぎやすくなります。指定校推薦と公募制推薦の違いを含めた学校推薦型選抜の全体像は下記の記事にまとめていますので、まだ流れをつかめていない方は先にご覧ください。
「校内選考に落ちたらどうしよう」「指定校って途中で無理になったら終わり?」
——その不安は、AOIの無料相談で解決できます。いまの評定と活動をお聞きしたうえで、どこを補強すればいいかを具体的にお伝えします。
ここまでお伝えしてきた通り、大学の選考で落ちる方は多くありません。ただし、ゼロというわけでもありません。
気をつけたいのは、「まず落ちないから大丈夫」と考えて準備をしないまま当日を迎えてしまうことです。次の5つのケースは、知っておくだけで防ぎやすくなります。
大学の選考でつまずく理由として、最も多いといわれているのがこれです。
「推薦だから形式的なものだろう」と考えて準備をせずに臨んだ結果、志望理由を聞かれても答えられない、質問に対して黙り込んでしまう、声が小さくて聞き取れない、といった状態になってしまうことがあります。
とはいえ、難しいことを求められているわけではありません。志望理由を自分の言葉で説明でき、質問にきちんと向き合えていれば十分です。
なお、面接では志望理由書の内容について、少し踏み込んだ質問を受けることもあります。そうした場面では、次のような答え方が使いやすいので覚えておいてください。
たしかに、ご指摘の通り〇〇という点はまだ十分ではないと感じています。しかし、私は□□という経験を通して、△△の大切さを学びました。だからこそ貴学で〇〇を学び、将来は□□に取り組みたいと考えています。
指摘をいったん受け止めたうえで、自分の考えを補足し、最後は志望理由に戻して締める。この流れを覚えておけば、想定外の質問が来ても落ち着いて対応しやすくなります。
実際にどんな質問が出るのか、どう答えれば伝わるのかは、下記の記事で質問例つきに解説していますので、面接の練習を始める前にご覧ください。
提出した書類には「将来は教員を目指しています」と書いたのに、面接では「まだ将来のことは決めていません」と答えてしまう。こうしたズレは、面接官には伝わりやすいものです。
書類を書いてから面接までは1か月以上あくことも珍しくありませんので、自分が何を書いたか忘れてしまうのは自然なことかもしれません。だからこそ、提出前に必ず書類のコピーを取っておき、面接の前日に読み返してみてください。
指定校推薦であっても、小論文や基礎学力を確認するテストを課す大学があります。
これらで高得点を取ることが求められているわけではありません。ただ、白紙に近い答案や、与えられたテーマから大きく外れた内容になってしまうと、評価が難しくなる場合があります。
大切なのは、どんな形式で出題されるのかを事前に確認しておくことです。文字数はどれくらいか、テーマが与えられるのか課題文が出るのか。それが分かれば、必要な練習量も見えてきます。出題例と対策の進め方は下記の記事で具体的に紹介していますので、小論文が課される方はご覧ください。
指定校推薦は専願、つまり「合格したら必ず入学する」という前提の制度です。
そのため、面接で「他にも受けたい大学があります」と答えてしまうと、制度の前提が崩れてしまう可能性があります。その場での評価だけでなく、高校と大学の信頼関係に影響し、翌年以降の後輩の枠に関わることもあるかもしれません。
迷いがある場合は、出願する前に整理しておくことをおすすめします。
推薦が決まったあとも、まだ高校生活は続きます。
成績が急に下がって卒業が危うくなった、校則違反で処分を受けた、といった場合には、高校が推薦を取り下げることもあります。大切なのは、推薦が決まってからも今まで通りに過ごすことです。
ここでは、悪気なくやってしまいがちで、けれど結果に響きやすい行動をまとめました。心当たりがないか確認してみてください。
① 枠が発表されてから志望校を考えはじめる
秋になって一覧を見てから「どこにしようかな」と考えると、志望理由が浅くなりがちです。先に行きたい大学を決めておき、その枠があるかを確認する順番のほうが、書類にも面接にも深みが出ます。
② 苦手科目を早々にあきらめる
評定平均は全科目の平均です。得意科目で5を取っても、苦手科目の2が足を引っ張ってしまいます。1科目で満点を狙うより、全科目で4を確保するほうが平均は上がりやすくなります。
③ 「たぶん通るだろう」と希望状況を調べない
同じ枠に誰が手を挙げるかは、聞いてみないと分かりません。担任の先生に確認しておくだけで、心の準備がまったく変わります。
④ 校内選考が終わるまで、他の入試を一切考えない
結果が出るのは9月ごろです。そこから動きはじめると、選択肢がかなり狭まってしまうかもしれません。
⑤ 合格が決まった瞬間に気を抜く
指定校推薦の合格は、高校を卒業できることが前提です。残りの高校生活の過ごし方も、合格の一部だと考えてみてください。
「合格が決まったのだから、もう大丈夫」と考えたくなる気持ちは、とてもよく分かります。ただ、少しだけ注意していただきたいことがあります。
指定校推薦の合格は、高校をきちんと卒業できることが前提になっています。そのため、単位が足りずに卒業できない見込みになった場合や、重大な校則違反があった場合には、合格が取り消される可能性があります。実際に起きる件数は多くありませんが、制度としてあり得るということは知っておいてください。
とはいえ、過度に心配する必要はありません。これまで通りに学校生活を送っていれば、まず問題は起きないでしょう。
それよりも意識していただきたいのが、合格発表から入学までの4か月ほどをどう使うかです。周りの友人がまだ受験勉強を続けているこの時期に、あなたには自由に使える時間があります。英語の勉強を続けてもいいですし、進学先の学部に関係する本を読んでみるのもよいかもしれません。この期間の過ごし方が、大学に入ってからの土台になります。
やるべきことは、いまの学年によって変わります。ご自身に近いところから読んでみてください。
この時期にやることは、とてもシンプルです。将来の選択肢を広げるための「貯金」をすることだと考えてください。
まず優先していただきたいのが、定期テストを取りこぼさないことです。評定平均は定期テストの積み重ねでできています。1つの学期で大きく崩れると、その数字は3年間ずっと平均に影響し続けます。逆にいえば、毎回そこそこの点を取り続けるだけで、評定平均は安定しやすくなります。
そのうえで意識したいのが、苦手科目を捨てないことです。先ほどNG例でも触れましたが、評定平均は全科目の平均値なので、苦手科目こそ平均を押し上げる伸びしろだといえます。
同時に、欠席と遅刻はできる範囲で減らしていきましょう。体調不良は仕方ありませんが、「なんとなく行きたくない」で休むことが続くと、記録として積み上がってしまいます。
そして、何か1つ、卒業まで続けられそうなものを持ってみてください。部活動でも委員会でも、地域の活動でも構いません。大切なのは、派手さよりも続けることです。
高3の春から夏にかけては、情報を集める時期だと考えてください。ここで動けるかどうかで、9月以降の落ち着きがずいぶん変わります。
確認しておきたいのは次の4つです。志望大学に自分の高校の指定校枠があるかどうか。枠の条件(評定平均の基準・対象学部・募集人数)はどうなっているか。校内選考では何を見て判断するのか。そして、昨年その枠に何人が希望したのか。
これらは、担任の先生と進路指導室に聞けば分かることがほとんどです。指定校枠の一覧は6月から7月ごろに公開する高校が多いようですので、いつ出るのかだけでも先に聞いておくとよいでしょう。
夏休みのあいだに、次の3つを実際に紙に書き出しておくことをおすすめします。頭の中で考えているだけでは、いざというときに言葉が出てこないことも多いからです。
1つ目は、その大学のその学部で学びたいこと。2つ目は、そう思うようになったきっかけとなったご自身の経験。3つ目は、卒業後にやりたいことです。
この3つが1本の線でつながっていれば、志望理由書も面接も落ち着いて臨めるはずです。逆に、ここが空白のまま9月を迎えてしまうと、締め切りに追われながら書くことになり、内容が薄くなってしまうかもしれません。大切なのは、時間に余裕があるうちに言葉にしておくことです。
校内選考を通過してから大学の選考までは、1か月から2か月ほどです。この期間にやることは限られています。
提出した志望理由書のコピーを読み返し、書いた内容を確認してください。そのうえで、想定される質問に実際に声に出して答える練習をしておきましょう。頭の中で答えられることと、口に出して答えられることは別物です。小論文が課される場合は、時間を測って3本ほど書いてみてください。入退室の作法や服装も、前日までに確認しておくと安心です。
大切なのは、「推薦だから大丈夫」ではなく、「推薦していただいた以上、失礼のないように」という気持ちで臨むことです。
ここまで読んで、こう感じた方もいるのではないでしょうか。
「対策すべきことは分かった。でも結局、同じ枠に評定の高い人が来てしまえば、どうにもならないのでは」
その通りかもしれません。だからこそ、最後にお伝えしたいことがあります。
指定校推薦を目指しながら、総合型選抜も並行して準備しておく。これが、いまとれる中で最も安心できる進め方のひとつです。
校内選考の結果が出るのは、高3の9月ごろです。
ここで通らなかったとき、多くの方が「もう一般入試しかない」と考えます。しかし、周りの受験生はその時点で何か月も勉強を積み重ねています。指定校推薦に集中してきた方が9月から追いかけるのは、簡単ではないかもしれません。
ただ、選択肢はもう1つ残っています。総合型選抜です。
総合型選抜の多くは9月以降に出願が始まり、年内に結果が出ます。つまり、校内選考の結果が出た直後からでも間に合う入試があるということです。一般入試まで走り続けるしかないと思っていた道に、年内に決着がつくルートが加わります。この差は、9月のあなたにとって大きな支えになるはずです。
「2つ同時に準備するなんて、負担が2倍になるのでは」と思われたかもしれません。しかし、実際にはそうならないことがほとんどです。指定校推薦のためにやってきたことが、そのまま総合型選抜で活かせるからです。
| 準備するもの | 指定校推薦 | 総合型選抜 |
|---|---|---|
| 評定平均 | ◎ 必須 | ◯ 評価対象になる |
| 部活・委員会などの実績 | ◯ 校内選考で見られる | ◎ 中心的な評価対象 |
| 志望理由の言語化 | ◯ 書類・面接で必要 | ◎ 最重要 |
| 面接 | ◯ 大学の選考で実施 | ◎ ほぼ必ず実施 |
| 小論文 | △ 大学による | ◯ 課されることが多い |
ご覧の通り、必要になるものはほとんど同じです。3年間かけて積み上げてきた評定も、続けてきた部活動や委員会も、時間をかけて言葉にした志望理由も、そのまま持ち越すことができます。
現実的なのは、高2の冬から高3の春にかけての時期です。
この時期に、2つのことを決めておいてください。1つは、指定校推薦で狙う大学と学部。もう1つは、万が一のときに出願する総合型選抜の候補です。
候補を決めておくだけで構いません。実際に動き出すのは校内選考の結果が出てからでも間に合うことが多いからです。ただ、9月になってから初めて「総合型ってどんな入試だろう」と調べはじめるのと、春の時点で候補を持っているのとでは、動き出せる速さがずいぶん違います。
誤解しないでいただきたいのは、指定校推薦を第一志望にすることは、まったく間違っていないということです。高校生活の積み重ねが評価される、とても良い制度だと私たちは考えています。ただ、自分の力ではどうにもならない要素が残っている以上、保険をかけておくことは逃げではありません。大切なのは、第一志望を全力で狙うために、安心できる状態をつくっておくことです。
指定校推薦と総合型選抜が具体的にどう違うのか、両方を狙える方にはどんな条件があるのか。並行という選択肢を検討したい方は、下記の記事を読んでから判断してみてください。
大学の選考で落ちる方はごくわずかだといわれています。一方、校内選考の倍率は高校ごとにまったく違います。枠1名に3人が希望すれば、通るのは1人ということになります。まずはご自身の高校で、その枠に何人が希望しそうかを確認してみてください。
その大学の指定校推薦には出願できなくなります。ただし、それで受験が終わるわけではありません。9月以降であれば総合型選抜、その後は公募推薦や一般入試という選択肢が残っています。
原則として難しい場合が多いです。評定平均の基準は、大学が定めた出願条件だからです。ただし、高校の判断で例外的に扱われるケースがまったくないわけではありません。まずは担任の先生に相談してみてください。
原則としてできないと考えてください。指定校推薦は専願が前提で、出願した時点で入学の意思を示したことになります。辞退すると、翌年以降の後輩の枠に影響することもあります。
結果が出るのは9月ごろですので、時間は限られています。ただし、9月からの数か月をどう使うかで結果は変わります。一般入試だけでなく、年内に結果が出る総合型選抜も含めて、早めに次の作戦を決めていきましょう。
指定校推薦は落ちることがあるのか。この記事の答えは、「落ちることはあるけれど、落ちる場所は大学ではなく高校の中であることが多い」というものでした。
校内選考を通過して大学に出願できた方は、その多くがそのまま合格しています。指定校推薦が高校と大学の信頼関係で成り立っている以上、推薦された生徒が簡単に落とされることはあまりないからです。ですから、力を入れるべきなのは大学の面接対策よりも、その手前にある校内選考だといえるでしょう。
その校内選考で見られているのは、評定平均、欠席日数、日々の生活態度、そして部活動などの継続的な取り組みです。どれも高3になってから急に用意できるものではなく、高1からの積み重ねがそのまま表れます。だからこそ、いまの学年が何年生であっても、今日から始められることがあります。高1・高2の方であれば定期テストと出欠を安定させること、高3の方であれば校内選考の基準を先生に確認し、志望理由を夏のうちに言葉にしておくことです。
そして、どうしても覚えておいていただきたいことがあります。同じ枠に自分より評定の高い方が希望を出せば、どれだけ準備をしていても選ばれないことがある、ということです。これは努力で埋められる差ではありません。もし校内選考で選ばれなかったとしても、それはあなたの3年間が足りなかったという意味ではないのです。
だからこそ、指定校推薦を第一志望として全力で狙いながら、総合型選抜という年内にもう一度チャンスがあるルートも、あわせて考えておいていただけたらと思います。評定も活動実績も志望理由書も、両方で使える共通の準備です。二重の負担にはなりません。
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