作成日: 2018年1月2日 最終更新日:

京都大学経済学部に特色入試で合格した話

自己紹介

皆さん、初めまして。aoiで小論文、そしてAOメンターをさせていただいている「aoiの二刀流」こと京都大学経済学部2回生の坂本晃太郎です。皆さんからはニックネームである「もっち」と呼ばれることが多いので、このように覚えていただけると嬉しいです。

はじめに

この文章では、僕が合格した京都大学経済学部の特色入試に加えて、京都大学の他学部文系の特色入試、そして他の国公立大学の中で小論文を課される入試を受験しようと計画されている皆様に対して、僕の経験を踏まえたうえでアドバイスをさせていただきたいと考えています。

経済学部特色入試とは?

まず、僕が受験した平成28年度の京都大学経済学部の特色入試の論文試験に概要について軽く説明します。この年の問題は、「自由」について述べられた10ページ程度の文章を2本読み、それらを要約したり比較したりしながら5つの設問に答えるというものでした。この形式は平成27年度まで実施されていた経済学部論文入試Ⅰの設問形式と類似しており、この年度以降の特色入試論文試験の出題傾向も本文の長さやその内容の難易度の差こそ見られますが、基本的には変化していません。そのため、来年度以降受験される方は、特色入試の過去問のみならず、論文試験Ⅰの過去問演習をすることも大切であると言えます。特色入試の試験時間は3時間と長時間ですが、その間に読み込まなければならない本文の量や記述しなければならない解答の量を考えれば十分な時間が用意されているとは言うことが出来ず、全ての設問に筋の通った解答を用意することは至難の業です。また、本文の内容も非常に難しく、高い読解力を有していなければ本文の理解すらままなりません。加えて、論文入試Ⅰの時代から、本文は僕達が普段生活をしていればあまり意識しないような題材から出題されることが多く、日頃から幅広い分野に興味を持ち、そして幅広い分野の本を読むことが大切です。そこで、私が受験生の時に特色入試対策として読んだ本を何冊か紹介したいと思います。皆さんの受験勉強の一助となれば幸いです。(僕が受験をしたのは2年前であるため、当時の新書に書かれていた情報は多少古い場合があるので、その点はあらかじめご了承ください。) 『高得点が取れる小論文の書き方について知る!

僕のおすすめ本を紹介

  1. 「新・戦争論」
  1. 「大世界史」
池上彰 佐藤優 文春新書 現在の国際情勢と宗教問題が分かりやすく説明されています。特色入試や論文入試Ⅰを振り返ってみても、国際問題や宗教問題が本文の直接の題材となっていることは少ないものの、このトピックを知っておくことで具体例を交えて説明せよという設問で記述することが出来る題材が増え、解答の幅が大きく広がります。また、志望理由書を国際系の話題で書こうと考えている方は必読です。
  1. 「グローバリズムが世界を滅ぼす」
エマニュエル・トッド ハジュン・チャン 柴山佳太 藤井聡 堀茂樹  文春新書 著者の中の日本人3名は京都大学経済学部にゆかりのある方々です。そのため、この本を読むことで京都大学経済学部の学風に触れることが出来ます。実際、僕はこの本に書かれていることを特色入試の大問5の具体例で使いました。また、エマニュエル・トッドさんの「問題は英国ではない、EUなのだ」(文春新書)を最近読んだのですが、この本も非常に面白く興味深いものでした。そのため、一読されることを是非お勧めします。
  1. 「民主主義とは何なのか」
長谷川三千子 文春新書 この本に頻繁に登場してくる、「自由」、「民主主義」、「自然権」といった言葉は、京都大学経済学部が特色入試、論文入試Ⅰで好んで出題してきたものです。自由や民主主義といった言葉は普段何気なく使いがちですが、実際にそれらに関する設問を解く際は用語の意味や歴史的背景をきちんと理解しておかなければ的外れな解答を書きがちです。そのため、この本を読み知識を身につけておけば、本文の理解度が格段に向上し、的確な解答を書くことが出来るでしょう。
  1. 「日本経済図説 第四版」
宮崎勇 本条真 田谷禎三  岩波新書 図やグラフが多く用いられており、日本の現状について視覚的に理解することが出来ます。特色入試の設問では、具体例を交えながら述べなさいという設問が頻出であるので、日本経済の現状について知っておくことはこの手の設問を突破するために必要不可欠であると考えます。また、この手の設問に対応するためには、日頃からニュースや新聞などの触れる機会を意図的に作り出し、世の中の動きに常に高い関心を持っておくことが大切です。
  1. 「文藝春秋 2018年の論点100」
現代の問題を一通り理解することが出来ます。ただし、扱っているトピックが多岐にわたるので、とりあえず最初は興味がある分野から先に読み進めて、どんどん知識を身につけていってください。小論文の出来不出来は知識量に左右されるといっても過言ではないので、知識を身につけることは上手い小論文を書く際には必須です。来年度受験の方は、2018年度版、2019年度版がお勧めです。 京都大学は「変人の巣窟」と言われることがあります。京都大学の変人性については、酒井敏教授という方が本を書いているので、ぜひ一度お読みください。京都大学を深く知るうえでは、必読の書と言えます。京大の変人を知るうえでも最適です。 京大変人講座: 常識を飛び越えると、何かが見えてくる (単行本) 京大的アホがなぜ必要か カオスな世界の生存戦略 (集英社新書) 以上の8冊が僕のお勧めの本です。

最後に

一言だけ述べてこのコラムを終わりにしたいと思います。 過去の特色入試、論文入試Ⅰの問題を分析すると、アンチ新自由主義的な考え、つまり自由な競争をする中で弱者を切り捨ててよいのか、あなたの良心を見たい、という意図を読み取ることが出来ます。僕は本番ではこのことを念頭に置きながら解答しました。一人ひとり性格が異なるように、各大学それぞれにも学風というものがあります。解答を書く際は自由に考えたことを書いてもよいのですが、その大学、学部の学風に沿った解答を書くことで採点官の印象というものは変わってくると僕は考えています。(特に京都大学経済学部の場合は問題からして出題傾向が露骨に偏っているので、学風を意識して解答することがかなり大切です。) がむしゃらに問題を解くだけでなく、出題者の意図まで理解できるように問題演習を重ねていくことが大切です。 今回のコラムでは論文試験を突破するために必要な知識を身につける方法について説明してきました。次回のコラムでは、国公立入試を受けるうえで避けては通れないセンター試験の突破方法についてレクチャーしたいと考えています。センター試験は問われている内容こそ基礎から標準レベルですが、きちんと対策をしないと大惨事を引き起こしてしまいます。いくら上手い論文が書けたところで、センター試験で大失敗してしまっては合格は至難の業となってしまうので、皆さんにはこうならないための秘訣を僕の経験に照らし合わせながらレクチャーします。お楽しみに。最後までお読みくださり、ありがとうございました。